遺言書を作成するには

目次
あなたの大事な人を守るために
あなたは、「遺言」という言葉にどのようなイメージをお持ちでしょうか?
自分は財産があまりないので必要ない? 家族も仲がいいし相続争いなんて考えられないから自分には必要のないもの?老い先が短くなった人に必要なもの?自分はまだ現役バリバリなので今考える必要はない?
ざっとこんな感じでしょうか?
しかし、財産がわずかであっても、一円でも多く貰いたいと思うのは人の性でしょうし、家族みんな仲が良いと思っていても、その配偶者など周囲の人の思惑ともからんで骨肉の争いになってしまうのが相続です。
また、あなたが遺言をしないで亡くなった場合、最終的には、法律で定められた人に法律で定められた割合で財産が配分されることになります。
つまり、あなたの大事な人にあなたの望む財産が渡らない可能性が出てきてしまうのです。
遺言があれば「争続」、「争族」を防ぎ、あなたが死亡したとき、あなたの大事な人にあなたが渡したいと思う財産を渡すことができます。
また、どのような遺言を遺すか考えることは、あなたにとって本当に大事な人は誰か、自分が亡くなった後にその人にきちんと報いることができるかを真剣に考えるなど、あなたの今後の人生の指針を立てるよいきっかけにもなります。
遺言は、あなたの大事な家族・大事な人をいざというときに守るため、そして何よりもあなたの今後の人生をより充実したものとし、よりよく生きるために必要なものです。
”死”というものは誰にでも平等に、そして突然に訪れます。
”遺言をする”ということについて、一度考える機会を設けてみてはいかがでしょうか!
遺言の方式を知ろう
遺言は、遺言者の意思表示のみによって成立します。ただし、この意思表示は民法に定められた方式でしなければならないとされてます。
遺言とは
遺言とは、人生の最終の意思や希望を書面にして、遺言者が亡くなった後にその内容の実現を保障する制度です。
最後の意思といっても、死期が迫ってからでないと遺言書を作成できないというものではなく、また、遺言者の最終の意思を尊重するものですから、遺言者が生きている間は、いつでも何度でも自由に変更したり取り消したりできます。
遺言は、遺言者が亡くなった後に効力が生じるので、効力が生じた後に相続人の間で「偽造されている」とか「内容の意味が不明」などの争いが生じても遺言者本人にその真意を確かめることはできません。
そのため、法律はできるだけ遺言者の意思を確保し紛争を予防するために、遺言書を作成する際に従うべき方式が厳格に定められています。
そして、この方式に従って作成されていない遺言書は無効とされています。
方式の種類
遺言の方式には普通方式と特別方式があります。
普通方式の遺言には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3つがあります。
特別方式の遺言には、「死亡危急者遺言」「伝染病隔離者の遺言」「在船者の遺言」「船舶遭難者の遺言」の4つがあります。(今回は特別方式については割愛します)
遺言は、普通方式によるのが原則です。しかし、普通方式によることが不可能か、著しく困難な場合は、例外的に特別方式によることが許されています。
自筆証書遺言と公正証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言者が遺言の内容を自筆で書面にし、署名及び押印をすることによって作成する遺言書です。
公正証書遺言とは、公証人が法律で定められた方式に従って作成する遺言書です。
自筆証書遺言のメリットとデメリット
まずメリットとしては、「自分一人で簡単に作成できる」、「費用がかからない」、「遺言者の存在と内容を秘密にすることができる」ということが挙げられます。
デメリットとしては、「方式の不備で無効になるおそれがある」、「内容の解釈が問題になるおそれがある」、「相続人間で遺言能力等が争われるおそれがある」、「紛失や改ざんのおそれがある」、「遺言書が発見されないおそれがある」、「家庭裁判所での検認が必要」ということが挙げられます。
公正証書遺言のメリットとデメリット
まずメリットとして、「方式の不備で無効になるおそれがない」「内容実現の確実性」、「遺言能力等で争われるおそれが低い」、「紛失や改ざんのおそれがない」、「相続人が遺言書の存在を検索することができる」、「家庭裁判所での検認が不要」ということが挙げられます。
デメリットとしては、「公証人への依頼や証人の確保など手間がかかる」、「費用がかかる」、「公証人と証人に内容を知られる」ということが挙げられます。
選ぶポイント
3-1、3-2で書いたとおり、自筆証書遺言には簡便さが、公正証書遺言は確実性が一番のメリットであり、遺言者は、そのどちらを重視するかによって、自筆証書遺言にするのか公正証書遺言にするのかを選ぶことになります。
ただ、公正証書遺言は手間がかかるといっても、私たち行政書士等にご依頼いただければ、内容の検討はもちろんのこと公証人との打ち合わせや証人の確保など、大半の事務を代わりにいたしますので負担を軽減することができます。
したがって、第三者に遺言の内容をどうしても知られたくないという事情がなく、費用が許す限りは、公正証書遺言の方が望ましいと言えます。