ずっと気になっていたので…
3月16日に建設職人基本法(正式名称:建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律)が施行されました。概要は以下の表のとおりです。
※国土交通省:建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律より引用
建設職人基本法は、”建設工事従事者”の健康と安全を守るためにつくられた法律です。
それなら、「労働安全衛生法が既にあるじゃん?」と疑問に思われる方もいると思います。実は労働安全衛生法は、その名のとおり”労働者のための法律”で、建築では一般的な「一人親方」は自営業者なのでカバーされていませんでした。
それでは、ざっくりとみていきます。
基本的施策
「建設職人基本法」では以下の項目に、国や自治体が取り組むことが定められています。
①請負契約における経費(労災保険料を含む)の適切かつ明確な積算、明示、支払
②責任体制の明確化
③労災関係の状況の把握
④現場の安全性の点検、分析、評価等に係る取組
⑤建設工事従事者の安全及び健康に関する意識の啓発など…
「建設職人基本法」では上記の項目について促進することが目的です。
そのため罰則はありませんが、今後の流れとして労働安全衛生法のように、厳しい罰則が課されることは十分想定されます。
国等の責務、法制上の措置等
この法律では、第四条から第六条で国、都道府県、建設業者等の責務、第七条で法制上の措置等について明文化されています。
第四条で、国は、上の表の基本理念にのっとり、建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する施策を総合的に策定、実施する責務を有すること。
第五条で、都道府県は、上の表の基本理念にのっとり、国との適切な役割分担を踏まえて、当該都道府県の区域の実情に応じた建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する施策を策定、実施する責務を有すること。
第六条で、建設業者等は、上の表の基本理念にのっとり、その事業活動に関し、建設工事従事者の安全及び健康の確保のために必要な措置を講ずるとともに、国又は都道府県が実施する建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する施策に協力する責務を有すること。
第七条で、政府は建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する施策を実施するために必要な法制上、財務上又は税制上の措置その他の措置を講じなければならないこと。
建設工事従事者安全健康確保推進会議
第十五条で、関係行政機関相互の調整を行うことにより、建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進を図るため、「建設工事従事者安全健康確保推進会議」及び専門的知識を有する者によって構成する「建設工事従事者安全健康確保推進専門家会議」を設ける。と記されています。
以上、私がポイントと思ったところを少し書いてみました。
「建設職人基本法」の運用はまだ始まったばかりですが、「建設職人基本法」にのっとって、国や自治体が打ち出してくる施策と、業界をあげて安全、健康に取り組むことで人手不足の解消につながる可能性に注目・期待したいです。
※さらに詳しく知りたい方はこちらで見ることができます。