産業廃棄物収集運搬業許可とは?
産業廃棄物を収集・運搬する事業を行う場合には、廃棄物の積み降ろしを行う都道府県知事の許可を受けなければなりません。
例えば、愛知県内で排出された「産業廃棄物」を、岐阜県内の「中間処理業者」の所まで、収集運搬する場合(愛知県から岐阜県に直行するものとします)
積み込む場所⇒愛知県
降ろす場所⇒岐阜県
ですので、この場合「岐阜県」と「愛知県」の両方の許可が必要となります。
産業廃棄物収集運搬業許可取得の要件
産業廃棄物収集運搬業許可を受けるためには、以下の5つの要件を満たしている必要があります。
講習会を受講していること
収集運搬業の新規課程講習会を受けなければならないのは以下の方です。
法人の場合⇒取締役又は事業所の代表者
個人で申請する場合⇒事業所の代表者
経理的基礎を有していること
具体的には、以下の内容で総合的に判断されます。
税金は完納されているか
自己資本比率及び直前3年間の当期純利益の金額など
財務内容によっては、中小企業診断士の経営診断書等を追加資料として提出することで経理的基礎の要件を満たす場合があります。
事業計画を整えていること
許可を申請する前に、以下のような事業計画を整えておく必要があります。
1、排出業者の名称・所在地、排出する産業廃棄物の種類、排出する産業廃棄物の量(何t/月)、産業廃棄物が排出される場所
2、取扱う産業廃棄物の種類、運搬車両の台数、収集運搬を行う時間・休日、従業員数(運転手の数)
3、運搬先の名称・所在地、取扱うことのできる産業廃棄物の種類(処分場等)
欠格要件に該当しないこと
以下の項目に該当する場合は許可を受けることができません。
※心身の故障によりその業務を適切に行うことができない者
※破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者
※禁固以上の刑を受け5年を経過していない者
※廃棄物処理法等の法律に違反し、罰金以上の刑の刑罰を受け5年を経過していない者
※暴力団の構成員である者
※上記のいずれかに当てはまる人が役員に就任している法人
他にもいくつかありますが、細かい内容は、相談時に一つ一つ確認していきましょう。
収集運搬に必要な施設があること
産業廃棄物が飛散・流出・悪臭漏れしないような運搬車や運搬容器を保有している必要があります。
収集運搬業者の義務
産業廃棄物収集運搬業者は、以下の決まりを守って営業しなければなりません。
処理基準を遵守すること
収集、運搬、施設において、廃棄物が飛散、流出、悪臭が漏れないようにすること
石綿の収集運搬を行う場合、石綿が破砕したり他の物と混合することがないようにすること
運搬車、船舶に産業廃棄物を運搬している旨などを表示すること(ステッカー)
感染性産業廃棄物、PCB廃棄物を収集運搬する場合は、密封できて損傷しにくい構造の運搬容器に収納すること
再委託の禁止
収集運搬業務は、原則として、再委託(委託を受けた仕事を別の収集運搬業者に任せること)はできません。
ただし、特別な事情がある(政令で定める再委託基準に適合する場合)場合は、例外的に可能。
台帳を記載し、5年間保存すること
産廃事業者は、委託を受けた記録を帳簿に記載し、1年毎にまとめたものを事業所で5年間保存しなければなりません。
委託契約は書面で行うこと
産業廃棄物の収集運搬、処分を委託するときは、下記の条項が含まれた委託契約書を作成し、契約終了の日から5年間保存しなければなりません。
1、委託する産業廃棄物の種類、量
2、運搬の最終目的地
3、処分場所の所在地、処分の方法、施設の処理能力
4、最終処分場の所在地、処分方法、施設の処理能力
5、委託契約の有効期間
6、料金
7、事業の範囲
8、積替え、保管を行う場合、所在地・保管できる産業廃棄物の種類・保管上限
9、安定型産業廃棄物であるときは、他の廃棄物との混合することの可否
10、産業廃棄物の適正な処理のために必要な事項
11、委託終了時の報告に関する事項
12、委託解除した場合の処理されない産業廃棄物の取扱いに関する事項
マニュフェストを使用すること
マニュフェスト(管理票)制度は、排出業者が、収集運搬業者、処分業者に委託した産業廃棄物の処理状況を把握し、不法投棄の防止など、適正な処理を確保することを目的としています。
産業廃棄物を委託する場合には、紙マニュフェスト又は電子マニュフェストのどちらかを選択し、使用しなければなりません。
排出事業者、収集運搬業者、処分業者は、マニュフェストを5年間保存しなければなりません。